うつ病の家族への「睡眠薬の処方」、
不安になることがありませんか?
「依存が怖いって聞いたことがある」
「ずっと飲み続けることにならない?」
「本当に必要なの?」
睡眠薬という言葉には、
どうしても「依存」や「怖い薬」というイメージがありますよね。
家族のことが大切だからこそ、
いろいろと心配になってしまう。
その気持ち、とてもよく分かります。
しかし、知っての通りうつ病の治療において睡眠はとても大切です。
しっかり眠れる状況をつくることがうつ病の治療に最も大切である
そうおっしゃる先生もたくさんいるくらいです。
この記事では、薬剤師としての知識と、うつ病の妻を支える家族としての経験をもとに、
- なぜ睡眠薬が処方されるのか
- 睡眠薬にはどんな種類があるのか
- 依存についてどう考えればよいのか
を分かりやすくお話しします。
なぜうつ病で睡眠薬が処方されるのか
うつ病では睡眠の問題が起こりやすい
うつ病になると、
- 寝つけない
- 夜中に何度も起きる
- 朝早く目が覚める
- 眠った気がしない
といった睡眠障害がよくみられます。
支える側の方も思い当たる部分があるのではないでしょうか。
夜中に何度も動いている気配。
気づいている方も多いかと思います。
夜うまく寝れない。
これがとてもしんどいんですよね。
睡眠は回復の土台になる
冒頭でもお話ししましたが、
私たちが思っている以上に睡眠は人体によって必要な時間です。
なぜなら
私たちの脳や心は、睡眠中に休息しているから。
そのため、十分に眠れない状態が続くと、
- 疲労が抜けない
- 気分が落ち込みやすい
- 集中力が低下する
といった悪循環が起こります。
ただでさえ気分が落ち込みやすい「うつ病」
それなのに睡眠障害の結果、さらに気分が落ち込みやすくなります。
だからこそ
うつ病の治療では、
「まず眠れる状態を作る」
ことが重要になります。
睡眠薬は、そのためのサポート役として使われるわけですね。
睡眠薬はすべて同じではありません
睡眠薬の必要性についてはご理解いただけましたでしょうか。
ここからは、睡眠薬の種類について簡単に勉強してみましょう。
睡眠薬って、全部同じようなものだと思っていませんか?
なんかいろいろ名前があるのは知ってるけど、
結局何が違うかよく分からない。
そう思う気持ちもよく分かります。
しかし実際には、その時出ている不眠症状によって使い分けられています。
不眠にもさまざまなタイプがあります
不眠症状、って一言でまとめてしまっていますが
一言で「眠れない」と言っても、
実は症状は人によって異なります。
- 布団に入ってもなかなか眠れない(入眠障害)
- 夜中に何度も目が覚める(中途覚醒)
- 朝早く目が覚めてしまう(早朝覚醒)
- 眠りが浅く熟睡できない(熟眠障害)
結構いっぱいあるでしょう?
そのため医師は、
「眠れない」という結果だけでなく、
どのように眠れないのかを確認しながら薬を選んでいます。
このほかにも、
シンプルに眠れないのか、考え事が多かったり、不安が強くて眠れないのか、
そういった原因によってもお薬の種類が変わったりします。
寝つきが悪い方には短時間型
いくつか具体例を考えてみましょう。
たとえば、
布団に入ってからなかなか眠れない方
だいぶ前からお布団に入っているけど、なかなかうまく睡眠に入れない。
そんな日が毎日続くの、しんどいですよね。
そんな方には
比較的短時間の効果が現れる睡眠薬が使われることがあります。
代表例
・マイスリー(ゾルピデム)
・ルネスタ
これらは寝つきをサポートする目的で使われることが多く、
翌朝に薬が残りにくい特徴があります。
夜中に目が覚める方には睡眠を維持するタイプの薬
一方で、
寝つきは悪くないものの、
- 夜中に何度も目が覚める
- 朝方に目が覚めてしまう
という方もいます。
まだ早朝4時なのに。
もう少し寝ていたいのに眠れない。
今日も仕事だから少しでも体力回復しておきたいのに。
これも、想像するだけでしんどいですよね。
こういった場合は、
睡眠を維持することを目的とした薬が選ばれることがあります。
代表例
・デエビゴ
・ベルソムラ
これらは睡眠を維持しやすくする目的で使用されることがあります。
薬にはそれぞれ役割があります
家族から見ると、
「なぜこんな薬が出ているんだろう」
と思うことがあるかもしれません。
しかし実際には、
症状や生活状況に合わせて選ばれていることがほとんどです。
睡眠薬は一括りではなく、
それぞれ異なる役割を持った薬なのです。
だからこそ、複数種類を組み合わせることもあるわけですね。
家族が心配する「依存」について
依存のリスクはゼロではない
依存してしまわないか心配
その気持ち、よく分かります。
薬がないと眠れなかったり、薬がないと生活に支障が出るようになるんじゃないかと、
心配になってしまいますよね。
たしかに、
睡眠薬の中には、
長期間の使用で依存が問題になるものもあります。
それはやっぱり事実として存在します。
リスクはゼロではありません。
だからこそ医師も慎重に使っている
ではなぜ、リスクがある薬を使うんでしょうか?
リスクがあることを軽んじている??
そんなことはありません。
医師も依存リスクを理解した上で処方しています。
依存のリスクよりも、不眠による健康被害を抑えることの方が優先順位が高い。
そう判断したときに、依存性がある睡眠薬は処方されるんです。
依存を心配するよりも、
不眠で気分の落ち込みや体調悪化が心配だ。
そう判断された結果です。
ご家族が心配される気持ちもとてもよく分かります。
しかし、
今は専門家の判断で、「飲む方がいい」と信じてほしいタイミングなんです。
自己判断で中止する方が危険なこともある
なぜこんなお話をさせていただいたかというと、
依存を心配するあまり、
自己判断で薬をやめてしまう方がいます。
これはとても危険な判断です。
なぜなら、
眠れない状態が再び続くことで、
うつ病の回復が遅れてしまうことがあるんです。
薬について不安がある場合は、
主治医や薬剤師へ相談することが大切です。
自分で調節していいよと、指示が出ている場合を除き
絶対に、自己判断で中止したり・量を減らすことは避けましょうね。
薬剤師として、家族として伝えたいこと
睡眠薬は回復のための道具のひとつ
睡眠薬は万能ではありません。
リスクもあります。
しかし、
「うつ病」の治療において、最も大切なのは「休む」こと。
そういった意味でも睡眠薬は、
回復を助けるための大切な治療手段になることがあります。
回復を助ける道具として、うまく活用していくことが大事なんです。
まとめ
睡眠薬には依存のリスクは確かに存在します。
だからこそ不安になるのは自然なこと。
しかし、
うつ病の治療では睡眠が回復の土台です。
依存だけを恐れて治療を避けるのではなく、
まずは体調の回復を優先することも大切です。
適切に使えば、
回復を支えてくれる大切な治療の選択肢のひとつです。
家族として不安なことがあれば、
ひとりで抱え込まず、主治医や薬剤師へ相談してください。
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